【定義】
新生児慢性肺疾患(CLD)は、生まれた直後の急性呼吸障害(呼吸窮迫症候群等の呼吸が苦しい状態)がよくなってからも、何週間も酸素や人工換気が必要な状態です。

「早期新生児期から肺の換気障害(上気道の疾患を除く)が持続し、酸素療法が日齢28日以上、あるいは受胎後36週以上に必要とするもの」で、前者が最初に述べられ、その後超早産児の生存率が上昇したため、比較研究を行うためには、在胎期間を考慮せざるを得なくなったからである。あいまいな定義のように見えるが、血液ガスに関する各種のデータが入手しうる現在、酸素投与基準がかなり厳格に守られていると考えられると、新生児の病態を症候学的にとらえているといえる。

新生児慢性肺疾患の疾患分類基準(改定)(厚生省心身障害研究班 1997)

Ⅰ.新生児の呼吸窮迫症候群(RDS)が先行する新生児慢性肺障害で、生後28日を超えて胸部X線上びまん性の泡沫状陰影もしくは不規則索状気腫状陰影を呈するもの
Ⅱ.RDSが先行する新生児慢性肺障害で、生後28日を超えて胸部X線上びまん性の不透亮像を呈するも、泡沫状陰影もしくは不規則索状気腫状陰影には至らないもの
Ⅲ.RDSが先行しない新生児慢性肺障害で、臍帯血のIgM高値、絨毛膜羊膜炎、臍帯炎など出生前感染の疑いが濃厚であり、かつ生後28日を超えて胸部X線上びまん性の不透亮像を呈するも、泡沫状陰影もしくは不規則索状気腫状陰影には至らないもの
Ⅳ.RDSが先行しない新生児慢性肺障害で、出生前感染に関しては不明であるが、生後28日を超えて胸部X線上びまん性泡沫状陰影もしくは不規則索状気腫状陰影を呈するもの。
Ⅴ.RDSが先行しない新生児慢性肺障害で、生後28日を超えて胸部X線上びまん性の不透亮像を呈するも、泡沫状陰影もしくは不規則索状気腫状陰影には至らないもの。
Ⅵ.上記I~Vのいずれにも分類されないもの。

【原因】
赤ちゃんの肺が未熟だったことに加え、酸素や人工換気の影響で肺が傷むためと考えられています。

【予後、治療】
傷んだ肺がよくなるためには、肺の成長がもっとも大切です。
ほとんどの場合は、体重が増えて肺が大きくなると徐々に呼吸も楽になり、酸素の必要量が減り、普通の空気で呼吸できるようになります。慢性肺疾患で症状が重いと、人工換気がなかなかやめられない場合や、やめられても酸素を長い期間(数ヵ月-1年)必要とすることもあります。
この場合は心臓の負担の検査をしたり、気管支をひろげるお薬を内服したりする必要が出てくることもあります。

急性肺障害の時期から酸素濃度、気道内圧を低く保ち、人工呼吸期間を短縮することが発生予防につながるとされています。